9林班線は、昭和20年度に開削された軌道です。昭和4年に未完成で終わったロープウェー駅跡地を土場にしたようです。すぐ近くに極楽橋線があります。極楽橋線は昭和18年の資料では区分は「索道」、昭和23年の資料では「牛馬道」となっています。いずれにしろ、「軌道」ではありませんので、9林班線が極楽橋線に直接入線していた可能性は低いと考えられます。

 昭和29年の資料には名前が挙がっていますが、昭和31年には無くなっているため、昭和31年度の高野林道幹線の自動車道化完成に伴い、廃止されたと思われます。

路線網 9林班線            
名称 位置 種類 延長 m 新設年度 備考  
高野林道 9林班線 自 九度山貯木場
至 9林班に
森林鉄道
牛馬道
13,500
2,500
  昭和23年調査  
高野林道 九林班線 自 極楽橋駅
至 九林班内
軌道 1,145 昭和20 昭和26年調査  
高野林道 9林班線 自 極楽橋駅
至 9林班内
軌道 1,145 昭和20 昭和29年調査  
            昭和31年調査  
               
出典 S0711外業完了 高野事業区 第3次検訂 施業案修正説明書 実行期間 昭和08-12年度
  1943 高野山国有林(昭和18年5月)
  S2312外業完了 昭和23年度 第六次編成 高野経営区経営案説明書 実行期間 昭和24-33年度
  1951 高野営林署直営生産事業概況書(昭和26年11月)
  1954 高野営林署直営生産事業概況書(昭和29年1月)
  S3111外業完了 高野経営区 第八次経営案説明書 実行期間 昭和32-41年度 高野営林署

 

web地理院地図の空中写真があります。1947昭和22年撮影です。(USA-M500-51 黄色は筆者追記)

   

①:未完成に終わったロープウェー駅跡です。一覧表に「極楽橋駅」と書かれているのは、南海高野線の「極楽橋駅」を示しているのではなく、ロープウェー駅の方を示しているのかもしれません。

史料によっては「極楽橋土場」と言う表現があるのですが、このロープウェー駅跡か、極楽橋線終点の広場を指しているのかは不明です。

極楽橋事務所が開設されているのですが、このロープウェー駅跡に置かれたのかもしれません。(全くの想像です)

 

②:現在は、①のロープウェー駅跡のど真ん中を「極楽・矢立線林道」が走っています。この写真に描かれるし路線とは、一部重複していますが別ルートです。②以西の不鮮明なルートの方が、林道と重なっているようです。林道は、9林班線をつぎはぎして開削したと思われます。

③:ここは谷筋です。しかし、他の谷筋には見られない、はっきりとした道筋が見られます。この谷筋の終着点は不動谷川です。そう、極楽橋線です。この道筋が、本当は何なのかわ判りませんが、修羅で落としていた可能性も零ではないと考えています。